例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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睡眠時間


 目覚めたのは、いつも通り。陸時だった。
 昨夜は眠気が限界に達し捌時半に布団に入った。汗をかき拾壱時半に壱度目覚めたが、予め枕元に置いていたタオルで額の汗を拭うとすぐに眠ってしまった。計玖時間余り眠っていたことになる。玖時間睡眠をとると気分がいい。自分に合っている睡眠時間はやはり玖時間らしい。

 風呂からあがったら寝てしまえばいいのだろうが、それからぼうっと時間を過ごし拾壱時を過ぎてしまう。尤も冬であっても風呂からあがってすぐには眠れないので、夏なら余計ではないかと想う。他人に驚かれるほどの冷たい躯が自分には気持ちがいい。
 あたしの躯にふれる都度、××ちゃん冷えているよ、と彼は言い、あたしはあたしで彼の躯に、熱くて気持ち悪い、と言った。それくらいなので、他の人と手を繋いだりハグしたりすることは余りなかった。今想えば、これでよく長くつきあえる異性ができたものだと感心する。

 若い頃は拾弐時間寝ていて、其のことで喧嘩になったことを思い出す。今なら原因を知り説明ができるけれど、他人と気持ちよく過ごすのにだいじなことはそう云うことではないのだと想う。
 ぼうっとしてしまうの、と言ったなら、うん、とだけ彼は応えるだろう。今はそれにあまえていよう。

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