無言
2024, Jul 17
昼食はとうもろこし。
いつのまにか眠ってしまったらしく、気が付いたら椅子弐脚にまたがり横になっていた。観ていた映画は丁度終わったところだった。
昨夜もよく眠れなかったことを残念には想ったが、何遍も観ている映画なことと改めて録画したことでそれほど気にはならなかった。
場所でも映画などの作品でも大概静かなものを好きになる。
村外れの古い家屋。聞こえてくるのは風の音と野菜を洗う水の音。物語るのは人物の口から発せられる言葉でなく、まなざしや指や足の動きが発する言葉。ゆっくりと流れる時間。
人物と同じように底にある悲しみを自分も自分の隣に座らせ、皿の上のとうもろこしの残骸を淡々と新聞紙に包み袋に入れる。
茶色いカップに飾ったままにしてある花束になった唐辛子が、小さな焔のように眼に入った。
開け放った台所の出窓の向こう、のうぜんかずらの朱い花が咲く頃、あたしの周りも好きな映画のようにもっと静かになればいいと想う。