百日紅の花に
2024, Jul 16
買い物に行く道すがら百日紅の花を眼にする。
毎夏楽しみにしていた或の百日紅も花開いただろうか。大きな大きな樹が花をつけると、それはそれは見事なことになった。いつか百日紅の花に隠した嫌な記憶は塗り替えられ、百日紅と言えば今は其の下で彼と過ごしたことを思い出す。
自分のことで怒ったことが、いつのまにか消えるようになっていた。相手に対し興味のひとつもなくなり、存在さえぼんやりとしか残っていない。壱方で誰かのことで怒った記憶はいつまでも残っている。どんなに時間が経っても相手のことを思い出すと嫌な気分になり、吐き気をもよおしたりさえする。
神経質と云う性質は、齢が上がるに連れ薄れる人とより強く出てしまう人に分かれると聞いた。自分は前者ではないかと想う。一旦引っ掛かったものが、引っ掛かりをなくす。少しでも消えていくものができてきたのはいいことだろう。
できれば、残したいことだけを残していきたい。
落ち着いたら絵を描いてみようか、などと想う。或の百日紅を、或の絵具の、或の紅色で。