例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

忍者ブログ

頁を戻る頁を捲る

滑稽なこと


 久し振りに最高血圧が佰を切り、ぼうっとしながら玄関を出る。
 道を挟んだ家の男性が家の周りを掃いていたので、後ろ姿に声を掛ける。
 塵置き場に袋を置き網を掛け去ろうとすると、男性に声を掛けられる。網はきちんと掛けてくださいね、と強い口調で言うので確かめるけれど、何が悪いのかわからず塵置き場の前で首を傾げていると、あたしをずっと見ていたのか、見えないの?と男性が訊く。そして箒で塵をつつきながら、此処、と言う。
 見ると確かに脇の処が開いていた。血圧が低くなっているときは、大抵失敗をする。

 昼になり頭がはっきりし今朝のことを思い出すと、可笑しくて笑ってしまった。
 口で言えばいいものを箒でつついて指すなんて随分横柄な人だ。父も煩かったけれど、箒でつつくような叱り方はしなかった。声を掛けても返事はなく、耳が遠いのか、他人と対面するのが嫌な人なのだろうかと想い、コロナ禍もあり暫く声を掛けることをしなかったけれど、耳が遠いのでなく対面するのも嫌でもないのだとわかり、なんだあと想った。
 それにしても横柄なと想うと、笑いがこみあげてくる。もしかしたらここぞとばかりに話し掛けてきたのだろうかと余計なことを想うと、けらけら笑ってしまう。相手は相手で、あれが見えないなんてなんてずぼらなと苛ついたのだろうかと想い、また笑ってしまう。
 傍から見たらすごぶる滑稽なことと自身に言い聞かせ、気を引き締めた。

拍手

      郵便箱

   
 内緒で

* メールアドレスは表示されません。