夾竹桃
2025, Jul 02
今まで桃色の花しか見たことなかった。真っ赤な夾竹桃の花に、此れが焼け野原に咲いたなら、と想像すると躯が持っていかれそうになる。
越す前の家の台所の窓から見えていたのうぜんかずらは、花をつけただろうか。夏にふさわしい大きな朱い花が恋しい。
壱度台所の出窓に置いたステンレス製の棚は片付けてしまった。流しの奥まで続く窓に容易に腕が届かず、ドラムのスティックで開閉している毎日。それもあったのと、何より其処に花を想像したかった。
自室続きの空間の、参方どの窓を覗いても花はみつからない。
花はあたしにとり生と死を映すもの。田中一村が描いた「奄美の杜」のような景色を窓の奥に乞う。
知らん顔して出窓の向こうに、鉢植えの柘榴でも移し替えてしまおうかと想ったりしている。