墓参り
2025, Jan 29
今日は誰かの誕生日。
そして今日は誰かの命日。いとこたちと墓参りに行く。声を掛けられたのは母とあたしだけ。
家の壁を直しているのだとかで、周りに布が張られたいとこたちの家は昼間でも薄暗かった。
伯父がいなくなったことで露出した影を悲しく感じている。違和感がどうしても拭えず、心の内で参人消した。
ねえちゃんはチョコレイトが好きだから、と出されたお菓子を口に運び、掃き出し窓から漏れてくる陽の光を浴びる。影もあるのだろうけれど前面に出てこない者がいる。灯りをまとった彼が伯父にも似て心地よく、笑って返事をする。返事をしながら夫は其れ以上、返事さえしなくていい心地よい存在だったのだと想う。
心の内で誰かを無くし、同時に改めて誰かを得ている。卓の下で黙って手を組んだ。