塵袋に入れる
2024, Jul 04
同じ布靴がみつかり購入を決める。
荷物を持ち電車とバスを使い往復弐時間の道のりに役立った布靴に、お礼を述べ塵袋に入れる。履かなかった日は洗った日くらいで、殆ど毎日のように履いていた。
長い時間履いていられる靴をみつけるのは難しい。中敷きを入れたりといろいろ工夫し、なんとか負担のかからない靴にしやっと笑うことができる。其れをたいして工夫することなく履いていられた靴だった。
或のときも或のときも一緒だったと想うと、物を棄てられなくなる。これから使うか考えて棄てる決心をするけれど、これから使わないと想ってもどうしても棄てられないものができてしまう。
ひとつふたつに留めておこうと想うのに、ひとつふたつでは済まずに、今、其の気持ちと闘っている。
痛みが激しかったこともあり靴はさっと気持ちが動いた。こんなときに自身を褒めてやればいいのかなどと想いつつ、同じ靴を購入したことを彼に報告する。
よかったね、とどんなときにも淡々とした素っ気無くも想える彼の声を聞く。あなたは棄てないの?と訊くと、棄てるのが嫌いな彼はやはり素っ気無い声で、あとで、と返してきた。