可愛らしいもの
2025, Apr 13
朝、珈琲豆を挽く。此処へ来て朝夕は母に合わせての暮らしになり、朝は珈琲もインスタントコーヒーで済ませるようになってしまっていた。
部屋ひとつ移動するでも、朝の寒さでも、以前と勝手が違う。其れを暮らし易いようにひとつづつ工夫しているものの、未だに以前の暮らしに追い付かない。
久し振りで飲んだ珈琲はおいしかった。
昨日思い出してブラッドオレンヂを探したけれどみつからずに、代わりに買ってきたトルコ産のオレンヂも一緒に食べた。
昼間携帯電話の留守電に入っていたメッセージは今度班長さんになったお宅からのものだった。拾何年も前にお世話になった際番号を教えていた。
こちらから出向き会費を届けに行くと、出てきた彼女は明らかに齢をとった姿になっていた。自分のように単に拾年過ぎたと云うだけでなく、話し方が違い患ったことがわかるものだった。それでも拾年前と変わらないやさしさにお会いできてよかったと想う。
流しの窓につけるカーテンがみつからないのと安く済ませる為、カーテン生地を買い作ることにした。
こんなとき玩具のミシンでも、あって助かる。欲しいことを口にすると、買い物好きな彼が勝手に買ってしまうことが何度かあった。初めは文句を言ってしまってもずっと使い続けている。逆も然り。彼だって歯ブラシだって髭剃りクリイムだって石鹸の泡立てネットだって気に入って使い続けていた。
変わっていくもの、変わらないもの。それから、可愛らしいもの、と口にするとぽろぽろと泪がこぼれてきた。