何故かニードルフェルトでうさぎを作ることになり、昨日から挑戦している。多少大きい躯になってしまったもののそれなり形になり、初めてにしては、と悦んでいたけれど、今日は顔がうまくいかず数回やり直すことになってしまった。
　やり直すうち腕をつけた位置も気に入らなくなり、時刻も時刻となりちょっと泣いてしまう。泣いたのがいけなかったのだろうか。腕をとろうとしニードルの針の先を折ってしまった。ニードルは壱本しかなく、片腕をなくしたうさぎにうんと泣きたくなった。

　久し振りにトリートメントをして少し元気を取り戻した風呂上がり、うさぎに目をやると泣いてしまうほど失敗した顔には見えず、明日ニードルを買ってきてやり直したら大丈夫だと想えた。一生懸命なあまり眼を近付け過ぎて感覚がおかしくなっていたのだろう。
　腕を直して全体を整えたら、うさぎを適当な場所に飾ってあげよう。
　たぶん弐度とこう云うものを作ることはないだろうけれど、一生に壱度はしないことをしてみるのも悪くない。つい夢中になってしまい失敗が続くと泣いたりすることはあっても、其れはほんのひととき。うさぎの黒い眼と目を合わせ、口を拡げにっと笑う。