セーターの本を拡げて
2025, Dec 12
曇った空に弐階で過ごすのをあきらめ、亀たちと寒がりな鉢植えを自室に招き部屋を暖める。足元にはブランケット、机の上にはカフェオレとクラッカー。セーターの本を拡げる。
細い絲で編むのは時間が掛かる。ましてや編むのはあたし。母の編んだものが残ることを想えばもう壱枚も編まなくていいかとも考えるけれど、そのうち編めなくなる日があたしにもやって来るだろう。
面倒なことも重い物を動かすことも今のうち。複雑そうな模様編みの頁に栞を挟んで閉じた。
彼を想うことで生まれるほんの少しの気力でこうしていられる。これから死ぬまでこのままではないかと想うけれど、減ることはなさそうなので此の気持ちに身を委ねていよう。