例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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現状


 来ましたよ、と声を掛けると、本当に嬉しそうな顔をしいきなり、可愛い可愛い、とあたしに向かい母が言う。かあさんも可愛いよ、と言うと、本当に可愛らしい、と何遍も言うのでどう応じようかと想っていると、幼稚園に行くの?と訊かれ、今日は母の中で自分は幼稚園児になっていたことを知る。
 すぐに、行くよ、と応えると、いってらっしゃい、と言う母に、まだ時間になっていないの、と返す。
 理解力はあり、こちらが合わせれば彼女と会話は成り立つ。またこちらが家のことなどを話すと、それなりのことが返ってくる。現在の状況が把握できなくなっているらしい。
 元に戻ることはないだろうが、おだやかに過ごしていてくれればいい。母の記憶から抜けても、忌まわしい記憶は未だに自分の胸を抉り続けている。

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