雨でなかったら
2026, Apr 02
平日に橋向こうまで行く丁度いい時間のバスがあったら、と風雨の強い日は想ってしまう。傘をうまくさそうとすると足元が覚束なくなる。
遠くに見えるのは櫻並木。夕食は総菜で済まそうと、橋を渡り右に折れ土手の道を歩く。坂道を下る手前、満開になった櫻に足を止める。今度また面会に行ったときに母に見せようと寫眞に撮った。
雨でなかったら遠くから見るだけだった櫻。日暮れは近く、辺りに人影は見られない。うす暗さと雨音が、過ぎ去った時間と今を繋ぐ。大人になったとき猫を想い、ひとりだけ大人になってしまったと泣いたけれど(考えたら猫の方が先に大人になっていたのに)、時を過ごすほど満ち足りた気持ちも増えれば声をあげ泣く回数も増える。
櫻の前ですました顔をするあたしの寫眞が増えることはもうない。寫眞だけ彼と並んだ時のまま。動かない。