帰路
2025, Dec 09
平日の帰りのバスは壱時間近く待つことになるが、風のある日は自転車に乗れず今日はバスで病院へ向かう。
帰りのバスは拾漆時。乗車し窓を覗くと地平線が真っ赤に染まっていた。降車し橋を上っていくと左手に富士山が大きな姿で現れる。空気が澄んでいるのだろう。右手にはすぐにも完全な円となりそうな月が昇っていた。
彼の面会帰りと母の面会帰りはだいぶ異なる。
彼の面会帰りと同じように冬は暗い道を泣きながら歩くと想っていたのに全くそんなことはなく、一緒に来た(と想っている)カエルの人形と彼と普段と変わりなく歩く。然も途切れることのない会話。
心許ない気持ちとそうでない気持ちは、どうやら彼が傍にいることを意識することで分かれるらしい。
川に映る月をみつけ声をあげる。耳に届いたのは余裕だった。