幸福な朝
2024, Nov 05
キリマンジャロの袋を開けた朝、倖せになった。
キリマンジャロの香りがふたりの基本の珈琲の香りだった。彼がそうしていてくれたように、はい、と言い彼の鼻に袋を近付ける。
電動のミルを使っていたときはわからなかったが、キリマンジャロの豆は硬く、手動の珈琲ミルを抱くように持ち挽くことになった。壊してしまった或のミルだったら泣いてしまったかもしれない。
湯を注ぎ、ほら、と彼に声を掛ける。ふくらんだ珈琲にひとりでに頬がゆるむ。
珈琲ポットに落ちたキリマンジャロは苦い味がした。ひと口飲んだあと、昨日まで飲んでいた珈琲は比べるとあまいけれどどっちもおいしいよね、と彼に同意を求めると頷きはしたが、キリマンジャロは最高だと想っているのが顔でわかる。
満ち足りた朝、彼の横で林檎も満足そうに赤く輝いていた。