波間
2024, Nov 02
彼の後を追い自転車を走らせていた。道の先はみっつに分かれている。中央の道はトンネルだった。
左に寄る彼に合わせ左に寄ると、間違えたのか彼はハンドルを切り右へ寄ったが、後方から車が近付いてきたのであたしはそのまま左を走った。車は弐トン車程の大きな車両で彼が見えなくなる。
車が行ってしまうと、あたしは途方に暮れた。彼がどの道を走っていったか判らない。自転車を止めわんわん泣いた。泣きながら、きっと戻ってきてくれると想っていた。
夢を見ていた。目覚めて時計を見ると午前参時半を廻ったところだった。其の後漆時半まで眠った。
心は絶えず波間に浮かぶ舟のようにゆらいでいる。
昨日買ったチョコレイトの包みを開けた。ネーブルオレンヂのピールが入ったかすかに苦さと酸味が加わった味が口の中でゆっくり溶けていく。
備わるものが備わっていない舟と櫓で渡っていくには海は廣すぎて、不安に襲われることがある。