其処に誰かがいたと云うこと
2024, Dec 07
電子レンヂと一緒に薬缶もゴミ置き場に出した。どちらも傷んでいるとは言え壊れてはいない。ただ、電子レンヂは定位置に皿を合わせ辛く、弐回に壱回失敗してはガタガタと今にも皿が割れそうな音を出していたと云う具合だったし、薬缶は母が何故かふたつも持っている(然も使っていない)。
電子レンヂは彼も本当によく使っていたと想うと泪ぐんでしまう。人壱倍手が冷たいあたしが鍋摑みもせず温めた料理を卓に置くのを見て、同じように素手で摑んでは指を真っ赤にしていた彼を思い出す。壱度や弐度でなく何度も同じことをするので、其の都度呆れて見ていた。お昼にカレーパンを買ってきては愉しそうに温めていたことも、牛乳を温めては泡立て器で泡を作り珈琲にのせてくれたことも、よく憶えている。
お疲れ様。ありがとう。そう言って今日も泣いてしまう。これからも物をそれなりにだいじにできそうな気がする。けれどいとおしくなるのものはできるのだろうか。