逢いに行く
2025, Jul 05
面会に行くと、すぐにわかったようで母は笑顔になった。「来てくれて嬉しい、ありがとう。」と言葉もはっきりしている。痩せた以外変わったところは見られない。はいかいいえのみの反応でなく、笑顔を見せ感謝を口にする彼女に安堵する。
看護師さんに「〇〇さん、落ち着いていますよ。」と声を掛けられ、自分が落ち着く。
壱週間から拾日ごとの面会に、痴呆が心配になる。加えて、果たして現在入院中の病院でよかったのだろうかと、もっと綺麗な部屋のある病院がよかったのではないかと、いろいろ想ってしまう。
想っても想っても尽きない想い。
本人が不満に想っていたり、酷い扱いをされていない限り、良しとすればいいのだろうか。
笑ってくれる母に、ありがとうと言う母に、自分ができることはやはり(夫もそうだったように)逢いにいくことかと想う。
いつか面会が終わろうとする時間、何も言わず手を握ってきた彼に、「何?」と訊くと「帰るんでしょう?」と返ってきた。
あたしは其の手をずっと好きなままでいる。