相変わらず
2025, Mar 18
拾日前に完成したカーディガンは文句のつけようのないほど躯に合う。合うだけに予定したものと大きく違ってしまったことに複雑な気持ちが隠せない。
予定では大きめな、何の上にでもばさっと羽織れるカーディガンをこしらえるつもりだったのに、如何にもSサイズですと云うものができてしまった。知ってか知らずか母が褒めるものだから、ますます複雑な気持ちになってしまう。
襟と袖を鋏で切り落としてしまったTシャツに擦り切れるまで履いたコンバースの白い布靴に、切れるところまで切って貰った段カットの髪に、くたくたになったデニムのリュックサック。そんな格好をしていた頃から殆ど変わらない。
自分が好きな服を着ていると褒められずに、取り敢えずと想った服を着ていると褒められる。そう云ったことばかり。
暖かくなったらまた全身白か黒に身を包む。開け放した窓の傍で棒アイスを片手にブルーズを聴いて過ごすようになるだろう。それでいいさ、とつぶやいてみる。
何処にいても幾つになっても変わらない。そうして隣の部屋では彼が相変わらずラジオを聞いていることだろう。