珈琲を淹れる
2025, Jan 20
胡桃の卓の上に置いたままにしていた珈琲ポットやミルを箱から出した。設定など替える必要もなく出したらすぐに使えるとわかっていても、気持ちが落ち着いてこなかった。
此の家の改装をする以前にまとめた荷と引っ越してきたときの荷を交互に整理し設置を繰り返す毎日。読書も映画を観ることも音楽を聴くこともない生活がひと月以上続いている。
今朝、お気に入りだった大きなたんぽぽが刺繍されたカーテンを塵出しの為だけに付けた台所の出入り口に掛けてみた。傍には小鳥が止まる鉄製の吊り籠を下げ、乾燥花にしたからすうりの実と鬼灯の実を飾った。以前と同じようでいて同じでない、同じでないようでいて同じなような光景。
久し振りに耳にするミルが珈琲豆を砕く音がやさしい。其処に彼が立っているのを感じる。