忽然と
2024, Mar 26
領収書を整理していると、救急車で運ばれた先の病院の領収書がないことに気が付いた。薬が入れてあった袋こそあったが、説明の用紙もない。忽然と消えていた。替わりに電柱等土地使用料のお知らせが弐通現れ、首を傾げる。行動に目的も愉しさも悦びも感じられない。何がしたいのか全くわからない。
海老の佃煮を御飯に混ぜおむすびを握ると母がおいしいと言うので、父にも拵え供えた。たったそれだけでもくすくすと笑える。そんなのが好きだ。
父のやり方をなぞれば、父の存在を感じる。夫のやり方をなぞるにしても同じで、存在があたしを嬉しくさせる。悲しみと痛みと他人を思いやる気持ちが壱線上に彼らは並んで見える。何の疑いなど持たなくてよかった。是まで猫だって亀だって信用してきた。彼らはだいじなものを奪いはしない。それどころか想像もしなかったものを与えてくれる。
家に帰ったらきっとまた忽然と其れは現れるのだろう。