大きな苺
2025, Jan 28
デイサービスで苺狩りに行くと玄関を出ていった母は、夕刻になり大きな紙袋と共に帰ってきた。中には箱がふたつあり、ひとつは度々お世話になっているご近所さんへ、ひとつはあたしにだった。
箱の中にはパックがふたつ入っていて、父に供えた後すぐにさげて彼の前にひと粒座卓に肆粒置いた。
大きな大きな苺の粒だった。大きな口を開け食べて、苺の瑞々しさに笑う。
瑞々しさと爽やかなあまさは、果実でしか得られない悦び。果実が笑っていると、あたしも笑うのだ。
ひとつ口に入れる毎、自分も苺の赤に染まっていく。ひとつの命で生き返ったようになる自分が。