例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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吟遊詩人の唄


 リアルタイムで聴いていた歌ばかりではなかった。なのに、拾代の自分を想ったり彼を想ったりして耳を傾けていた。
 曲で音楽を聴いているのでなく、自分は好みの演奏に耳が傾くのだと或るとき知って驚いたけれど、其処に好みの声と歌詞が合わさって、歌を好きになっているのかなと想う。

 初めて行く場所、最後のライブ。そう想っていたのに、引っ越し先からでも或る程度の会場に行けるのではないかと考えている自分がいた。
 弐時間躯を揺らしすっかり熱くなった手足と頬に師走の夜の冷たさが気持ちよく、寫眞なんて必要ないと想いカメラは鞄にしまったままにしておいた。

 師走になると時々思い出す。武道館までの坂道を。
 何をみつけたとして彷徨っている感覚はなくならないのかもしれない。
 彼と何度か一緒に行ったなと想った後、あっとなった。壱番ライブに行ったアーティストなのに彼以外と行ったことがない。瞬間ふたりは果ての無い箱に閉じ込められた。其処ですることと言えば何かを探し彷徨うことだった。

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