コンクリートリバー
2025, Feb 19
気が付くとバス乗り場のベンチに座っていた。隣には彼がいてあたしの膝を枕にし眠っている。両隣にはふたりづつ人が座っていたが気にする様子はない。
バスに乗降したことは憶えていない。見覚えのあるようなないような町がふいに眼の前に現れた。町の中には川が流れていた。
彼について川沿いを歩き橋を渡り石でできた建物の中に入った。途中まで屋根はなく奥に扉がある。扉のこちら側には数人が立っていた。男の人ばかりだった。左を向くと受付の窓口があり其処は理容店だとわかった。
彼を待つ間あたしは川を眺めていた。川の周りはコンクリートで固められ、流れこそあるが水は黒く汚れていた。異臭も感じられる。
扉の奥から出てきた彼はひとりではなかった。知り合いのようだが、見たことのない男だった。これから何処かへ行くと言う。辺りは薄暗くなっていたのであたしは先に帰ると言い彼と別れ橋を渡り来た道を戻った。
そうして川を挟み彼と同じ方向へ歩く。薄闇に少し不安な気持ちになる。
川が出てくる夢を時々見る。
夢の中であたしは川を行ったり来たりしている。川の傍に鬼がいたこともあるが、行き来していても自分だけ注意されたことはない。陸文銭を渡したことも壱度もないが、川は此岸と彼岸の間を流れている川だろうかとも想ったりする。