例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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やわらかな時間、やわらかな日々


 夜中に目覚る。開け放した扉の向こう、まだ彼は起きていて自室で何かしているのだと想った。次の瞬間そうでないと判るが、廊下の行き当たり、彼の自室の入り口の辺りに人の気配を感じた。
 いつかのことは何だったのか。夢を見ていた筈が途中から妙に生々しかった感覚が頬や腕や指先にまで今も残っている。夢は夢として判るのに、あれからはっきりと捉えられないものに出逢うようになった。
 誰かに話そうかとも想ったけれど、日記にもいちいち記さなくてもいいかと想う。好きなことは日常に。

 夏の朝は大概彼に起こされ、彼が珈琲を淹れる横であたしはフライパンに卵を落とす。亀たちはもう外へ出ていて、洗濯物を干しながら挨拶をして。散歩がてら、ふたりで何処へでも徒歩で買い物に行き、帰ったらアイス珈琲を作って飲んだ。必ずアイスクリイムを入れて。
 其れはやわらかな時間、やわらかな日々。日常は好きに自分で作ることができる。(其れが脅かされるとはなんなのか、侵されるとはどんなことなのか、奪われるとはどう云うことなのか。考えるとたまらなくなる。)

 おやつにする?、と今もあたしは彼に声を掛ける。今日も暑い。

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