例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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ふとした瞬間


 ふとした瞬間が多くなった。思考が停止し眼の前にあるものが見えなくなる、そんなわずか壱秒程の時間。微かに彼の存在を感じる他には何も感じない。
 ふとした瞬間は何処か異なる次元への入り口ではないだろうか。自身の都合のいい時期と其れが重なれば、ふとした瞬間へあたしは入り込んでいくのかもしれない。
 欲を言えば、海を前にしたとき、緑がまぶしい日、雪の降る日、など好きな空間に身を置いているときにふとした瞬間がやってきてくれるといいなと想う。
 異なる次元へ移動することは言い替えれば死なのだろうが、丗半ばまで想っていた死とはだいぶ違う。此処から消えるのでもなく逃れるのでもなく遠くへ行くのでもなく、何も変わらないような気がする。ただ此処から移動先は見ることができず、同じように移動先からも此処は見えないように想う。但し全く見えないのでなく、ふとした瞬間眼の前に現れることがあり、一瞬で見えなくなるものなのではないだろうか。
 けれど、実際はどうだかわからない。全て此処で感じていることだから。
 昨日買った緑茶を淹れていると、父が「うまいのか?」と訊いてきた。緑色がきれいなお茶に夫の眼が笑っていた。其処にも此処と同じように時間が流れているのかはわからないが、同じように流れている時間もあることを感じている。

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