彼女
2026, Feb 14
洗って衣文掛けにかけた袢纏を、午后の陽射しが透かす。綿が余り入っていないことや縫い目の粗さがよくわかる。それが自分にもできそうかと想わせる。
直すのに羽織の生地を当てるのもいいだろうか、胸に紐をつけ茶羽織りにしてもいいだろうか、などとぼんやり想い浮かべる。
幾度も想い描く。手を付けても想い直してはまた想い描く。時間は無限ではないのに、あたしはそうして時間を使い過ぎるほど使う。そして完成させてからもまだまだ想い描く。
ひとりで過ごしていても飽きない理由はそこにあるのだろうか。けれど、ひとりと言っても自身がいるではないか。何処までも付いてくるし、度々彼女は話し掛けてもくる。
然もあたしより倍はしっかりしているしおおらかでもある。そのうちいいのができるよ、とくったくない顔で彼女は笑う。