例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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彼女


 洗って衣文掛けにかけた袢纏を、午后の陽射しが透かす。綿が余り入っていないことや縫い目の粗さがよくわかる。それが自分にもできそうかと想わせる。
 直すのに羽織の生地を当てるのもいいだろうか、胸に紐をつけ茶羽織りにしてもいいだろうか、などとぼんやり想い浮かべる。

 幾度も想い描く。手を付けても想い直してはまた想い描く。時間は無限ではないのに、あたしはそうして時間を使い過ぎるほど使う。そして完成させてからもまだまだ想い描く。
 ひとりで過ごしていても飽きない理由はそこにあるのだろうか。けれど、ひとりと言っても自身がいるではないか。何処までも付いてくるし、度々彼女は話し掛けてもくる。
 然もあたしより倍はしっかりしているしおおらかでもある。そのうちいいのができるよ、とくったくない顔で彼女は笑う。

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