例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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自由


 休日も連休も平日と変わらない日になりつつある。予め用意されたものや与えられたものがたいして意味をなさなくなった。
 ひとりですることの殆どは何をどうしても勝手だけれど、そればかりでは愉しくない。自身を律し克己するほど鳥にでもなったような気持ちになる。
 ブラウン管の向こうに観た冬の森の狼に、群れない狼になりたいと想った気持ちを未だに持ち続けている。其れが子供だと世間離れしていると言われることになっても、狼の姿の方が魅力的に映ったままで・・・。きっとあたしはこのまま老いていくのだろう。

 人ひとり歩いていない国道。脇をぎりぎりで走っていく車。時間がもったいなくて肆つ先のバス停まで歩く。立って待つより歩いている方が考え事をするに適しているように想える。それにしても××らしくと云うのは難しいと今日も唸り乍ら。

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賑やかな日


 朝、花火があがる。カラオケの大きな音が家の中まで届く。昨日町の放送が達磨市云々と知らせていたことを思い出す。正午を過ぎるとカラオケの音と入れ替わるように風の音が賑やかになる。
 玄関前は落ち葉と埃であふれシャッターを落とし掃除をするが短時間で終わらず、風が治まるのを待つことにした。
 今日中に風が止むことはないだろうと想ってはいたが、壱時的にでも弱まることはなく、自宅ばかりでなくあちこちから聞こえてくる烈しい音に掃除の続きは諦めた。

 好きなのは例えば賑やかでなく活気あふれる通り。そんな通りを思い出し夕食のカレーライスをこしらえるあたしの足元で、風の音を気にすることもなくくつろいでいる亀たちに笑うと、ざわざわとしていた胸は元に戻っていた。

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ミルクティー


 珈琲でなく、ときどき紅茶が飲みたくなる。其れも茶葉を牛乳で煮出したうんと濃いミルクティーを。
 茶葉が用意に手に入らない町。仕方なく黒すぐりがブレンドされたとっておきの茶葉を使う。小鍋を買おう買おうと想いつつまだ手に入れてなく、紅茶をこしらえるには大きな鍋で茶葉を煮る。
 できあがったのは砂糖もスパイスも入っていない好みの濃さのミルクティー。黒すぐりの匂いは残っていた。
 随分と贅沢なミルクティーになったので、朝から卓に彼とカエルの人形を招待する。服も白のタートルネックセーターの上に羽織っていた上着を脱ぎシャツワンピースにする。
 音楽をかけるほど香を焚くほどの気分にはなれなくても、幸福を拾う暮らしは続いている。鍋底に残った茶葉を消臭剤にしようか掃除に使おうか、考えているだけでも進む時間がやさしい。

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きゃべつの青い葉


 ざっくり切った豚バラ肉と外側の青い葉を参枚ばかり取りざくざくと切ったきゃべつを炒める。味付けは塩。豚バラ肉できゃべつを、或いはきゃべつで豚バラ肉を箸で捲くようにして口に運ぶ。苦手な肉もこれなら食べられる。
 レタスの外側の青い葉も同じ。捲くように、絡ませるようにして肉と一緒に食べる。
 トマトも胡瓜も苦瓜も青臭いと想ったことはなく、そう云うものを好んで食べているかと想う。

 春と夏は何処も彼処も緑。すぐに草でいっぱいになってしまう庭。其の壱角に竹林。庭の向こうに見える道の向こうには杉の森。燐家の畑。
 草が生えているのでたいして服が汚れないから大丈夫とでも想っていたのだろうか。気が付いたら遊んでいる途中で電池が切れたかのよう草の上に寝転んでいる子供になっていた。
 遊びともだちは猫。彼女がときどき草を食べる様子をじっと眺めていた。きゃべつの青い葉もレタスの青い葉も、或のときの猫の匂いがちょっとする。

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 柚子の匂いが台所に満ちる。
 ふかふかのシーツを洗濯することも、きゃべつを買うことも、年末に買った柚子を砂糖漬けにすることも今日になってしまった。南天の葉はひと枝を残し落ちてしまい、花瓶から抜かれ乾燥花になった実と葉がくすくす笑う。しっかりものの蝋梅だけは未だに凛とし花も匂いもそのまま。

 冬になり毎日のように寝坊している。丗分目覚まし時計を遅らせたのに、目覚まし時計の音で壱旦目覚めてもやはり其の後丗分はうとうとしてしまう。神経質で細かなところが気になり何をするでも人壱倍時間が掛かるのに・・・。
 傍から見たらのんびりした朝、ゆっくりとした時間の流れ。本人はてきぱき動いているつもり。此の差異はすっかり気にならなくなったものの、玄関を染めるまぶしい光には慌てる。部屋に入れた亀たちと鉢植えをひとつひとつ運びながら、おはようとごめんねを繰り返す。

 朝。何度迎えても新鮮で、もぎった柑橘類の匂いが辺りに拡がるような壱日の始まり。何度迎えても其の中で死にたくもなればそうでもなく、新たな自分が始まる時間。

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