例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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寝相


 調子が良くないので横になる。大抵は寝不足、・・・だと想う。
 サンルームと化した弐階の部屋。まるくなり顔を埋めて眠る。
 眠るときは顔を腕や布団で必ずおおう。仰向けができず躯は常に横向き。
 ほんの少しのまどろみ。・・・だったのにブランケットは何処かに行ってしまっているし、お腹が出ているし、眼鏡は変形しているし、寝相の悪さに呆れる。
 冬になり毎晩一緒に眠るようになった亀は、布団から遠くに追いやられていたり、尻の下でもがいていたりしても文句を言わない。気に入らないと噛みつくことがあるのに、あたしは壱度も噛みつかれたことがない。亀でさえ諦めているのかもしれない。
 なんとか直すことのできた眼鏡。
 ベッドは使っていない。布団を落として眠ることがわかっているので。

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自転車に乗って


 自転車に乗るには少し強いかと想う風。けれど冷たくない。自転車にまたがると生ぬるい温度が頬を過ぎていった。
 疲れない範囲は片道肆拾分くらい。ぎりぎりの母の入院先。国道は危ないとわかったので参分だけ我慢しあとは土手の上を走る。
 帰ったあとで食べようと想っていた苺味の小さなチーズは、久し振りの自転車での面会と風の強さが心配になり、出掛ける前に食べた。
 行きは追い風だった。当然帰りは向かい風。坂道が上れない。息が激しくなり、「口から苺が出そう。」と泣き言を言ったらいつのまにかついてきていたカエルの人形が背中を押してくれている。おまけに「彼」のことを呼んでいる。
 自転車の車輪に絡まっているのは、金色になった麦、一眼レフのカメラ、菜の花、拾った波の音、いつも彼が持ってくれた檸檬ジュース。海まで×キロの立札が天国までの距離を想わせていた。

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方眼の雑記帳



 お気に入りだった雑記帳をとうとう使い切り半月。絲で閉じられ表紙が無く薄さも好きだったのに、販売されなくなっている。仕方なく購入した雑記帳は、絲で閉じられてはいるものの表紙があり少し厚みがある。けれど方眼になっているのと、筆圧の弱い自分でも難無く書ける紙質が気に入り、今日新たに伍冊買い求めた。
 自分も明日突然具合が悪くなりそのまま家に戻らないことも決してなくはないのに、雑記帳と筆記具は買い置きしておきたい。数箇月米袋のない生活をしても苦だと想わず、欠かさず花を買っていたりした。価値観ばかり優先し生活するのはよくないのだろうなと想っても、価値観に付属する幸福にいつも負けてしまう。
 半分以上埋まっていない冷蔵庫で凍ってしまったヨーグルトや柚子の砂糖漬けに苦笑するのに、今日も肉も魚も忘れてきてしまった。

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留まらせるもの



 弐枚の印刷物を交互に眺める。
 静かな青い絵。安いものでいいので額縁を買い飾ろうかと想ったのだけれど、暮れは過ぎてしまった。屋根が並び其処に雪が降る壱枚は拾弐月が似合う。もう壱枚の方なら壱月でもいいなと想うが、椅子に座ったまま動けずにいる。
 どうやらあたしの頭はすっかり片方の絵に囚われてしまっている。
 天気は快晴。風が暴れている。踵はとうとうがさがさになってしまった。なのに三好達治の詩が浮かんで消えない。
 あたしを留まらせるもの。好きな色、波音、砂浜、群れを成し飛ぶ鳥たち、森の入り口、森の奥、雨、雪、歌、詩、・・・。それから絵。

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春までに



 バケツに入っていたのは暮れの頃と変わらず、蝋梅と南天。然も南天はあちこち実がこぼれている。南天は壱日と持たないかもしれない。仕方なく店を後にする。
 家に帰るとふたつみっつ莟を持ったブーゲンビリアが迎える。水やりが足りないのか寒さでなのかガジュマルの葉はみっつよっつ黄色くなってしまった。
 春までにあたしがすることと言えば、鉢植えたちを枯らさないことと亀たちの甲羅が弱ってしまわないように気をつけること、冬に花瓶に活ける花を知っておくこと。
 悲しくならないように。

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