川べりの花に
2026, May 13
川べりのあちこちに咲く野薔薇のどれか壱本くらいは手折れるのではないかと想っているのに、近付いてみると手が届く枝は壱本もない。肆日前より花が開き樹も大きくなったのを見てこれならと想ったのに、全く手は届かなかった。
肆日前野薔薇はあきらめ、初めて見る紫の花を弐本手折ったが、今日も初めて見る樹木の枝を気付くと夢中で手折っていた。其れも弐本。香りのするうす紫の小花がたくさんついている枝だった。
殆ど往来がなく、ましてや立ち止まる者などいない場所で、花はいつ其処に根付いたのだろう。
子供の頃道端に咲いていた秋桜を、壱本引き抜き家に持ち帰り庭に植えたことを憶えている。やがて畑ひとつほどくらいまで増えた秋桜は手折っても手折っても絶えることなかった。父はよく怒らなかったと想う。またそこまで放っておいてくれたものだと想う。其のことを考えてもあたしにはあまかったことが想像できる。
枝壱本でいっぱいになった花瓶。そこに鉢植えに咲いたピンクや紫の小花を差し込み、父と彼と其々の傍に置く。何も言わずに放っておいてくれることがわかっているので、あたしはくすくす笑う。
それにしてもミツバチでもあったなら花粉を運べるだろうに。