造形
2024, Oct 09
真っ赤なダリアをみつめて笑う。
なんて素敵な造形。真っ直ぐとしっかりした茎が頭に乗せた丸い花の形。中央から外側へ拡がる花びらの集まりが見せる陰影。
ともすれば時々襲ってくるどうにもできない感情に負けそうになりながらも、ぼうっとすることなく躯は動き続けた。
ダリアの造形をみつめ、此れがひとつでも違えばと想像する。
違えば花はたちまち軋む音を立て始めるのだろうか。
鏡が寫す眠そうなあたしの眼、下がった口角、如何にも疲れている造形。かすかに軋む音が聞こえた気がしてはっとなる。
できればダリアを守りたく、今でも彼を守りたく想う。
何事もないように彼に声を掛ける。いつも彼がそうしてくれていたように。
「珈琲、飲む?」
すくっと台所に立つあたし。踵を上げ姿勢を正し珈琲をカップに注ぐ。軋む音さえもいとおしくなるようにと。