拾度目の秋に
2024, Oct 18
彼の友人に頂戴したさつまいもに包丁を入れると、鮮やかなオレンヂ色の実が現れた。まるで黄葉が零れ落ちてきたようで、手を止めてしまった。
包丁を入れる都度まな板の上には黄葉が拡がる。出窓から入って来るきんもくせいの香りもあり、家の中にまで訪れた秋に目を細める。あたしは相変わらず裸足で、比較的気温の高くなった日は半袖を着ている。
そろそろ業者に不用品の依頼をしようかと想い、玄関にはサンキライのリースだけ残し乾燥花たちは別の場所に移動させた。
檀香梅と云う植物の落ち葉だろうか。此処に越したばかりの頃だった。遊歩道に落ちていた余りにも立派な落ち葉を見て、家に持ち帰った。其れをまだ棄てずに数枚持っている。オレンヂ色の実のさつまいもは、其の立派な落ち葉に似ている。
頂戴したさつもいもの中に、ひとつだけ他の倍の大きさのものが雑じっていた。今度は其れを薄く切り天麩羅にしようかと想う。
よく使っていた或のお気に入りの藍色の皿に盛り、檀香梅の落ち葉みたいでしょう、と言い秋の陽射しの中で彼とふたり口にしてみたい。そうして自分の内に自分の知る秋を落としたなら、永遠になればいい。