櫻の枝に
2026, Mar 18
花瓶に活けた櫻の枝にいつかの春を想う。
剪定されたばかりの枝垂れ櫻の枝を、自転車の籠いっぱいに分けてもらったのはいつだったろう。花瓶もなく飲み終えた後の牛乳パックに挿し、借家の趣のある引き戸の前に置くと、まるで夢のような空間ができた。
或のときほどの華やかな櫻ではないにしろ、小振りの薄紅色の花が愛らしい。ねっ、ねっ、と彼に幾度も声を掛けてしまう。
借家の近くの白い山櫻の咲く通りも、近くの公園のうこん櫻も、町を流れる川に沿った櫻の道も、自転車で走った染井吉野の長い道も、樹齢何年だったかの寺の枝垂れ櫻も、森林公園の八重櫻も、・・・・、あたしには過去のものでなく現在のものとして存在している。
なつかしいのでなく愛おしい。