存在感
2026, Mar 19
家具の配置を替え細かなものは種類別に分け箱に入れただけで、母の部屋兼客室は広々とした空間となった。
だんだんと父がいた頃の家に戻っていく。けれど、自分は父ほど物を減らすことはできず何処かで止まるだろう。何処か・・・、彼との暮らしに近いところで止まるように想う。
広々とした空間で、今まで部屋の中で埋もれていた椅子や卓上チェストが輪郭を明確にする。声なき声で語り始めようとしている。
正午になり隣家と接した東側の窓から陽射しが入ってくると、其れはますますはっきりしたものとなり、あたしは黙って卓の前に佇む。
花瓶に活けた櫻の枝も部屋に似合っている。