静物と記憶
2026, Jan 06
壱年経っても先に進まない手紙は、便箋に折り目がたくさんついてしまった。作業場にしようと考えた弐階で、冬のやわらかな陽射しの中にただ立ち尽くす。
押し入れを整理したり、棚をふたつ並べ其の上に板を置き作業台をこしらえ、壱階から机や電気ストーブを持ってきたのに、立ち尽くしていることの方が多い。
カーテンを染める光や床に落ちた光。茶色になっても棄てずにいる紫陽花の乾燥花やハンガーラックに掛けたお気に入りの上着。何度も眼にしているものを今日も眼に入れる。そうして静物と呼吸を合わせてみる。
動いていないからといい決して動いていないわけではないように想う。光を受け陰影を作ったり、色褪せ形を変えたり、其処には自分には聞こえないわからない言葉がある。彼らも自分と同じに記憶を残している気がする。
ひとつでありひとりの個は、静物も自分も・・・。