例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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冬支度


 寒さにふるえ電気ストーブの入った箱を開ける。ともした灯りの前で両手でカップスープを持ちコーンスープをすする。スープを飲み干した後、電気カーペットを部屋に敷いた。
 昨夜は羽毛布団にくるまり眠った。

 冬が近付く速さはどの季節よりも速い。
 引き出しの上段と下段を入れ換え弐階からコート類を下ろせば冬物は揃うが、昨日まで着ていたTシャツや使っていた麻のものの洗濯が終えるのは来月になるだろうか。

 扇風機を掃除し箱を用意し分解し始めた処で気付いたこと。もう引っ越しを考える必要用がなく箱に詰めなくていい。そうして、階段下の押し入れに箱を後ろに塵袋で包んだ扇風機を前にしまう。

 あとは炬燵を使えるようにし、それとココア。そして傍には彼が。
 いつもの風景、いつもの時間。

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フレンチトースト


 ボウルに卵と牛乳、ほんの少し砂糖を加え食パンを浸す。
 気温が下がるにつれ甘いものが欲しくなる。
 珈琲もインスタントコーヒー。砂糖と牛乳を加える。

 嗚呼、また泣いてしまった。

 初めて入った店で(コンビニエンスストアだったらしい)朝からアイスクリイムをみっつ選んだ。初めて眼にするアイスクリイム(其のコンビニエンスストア独自の商品だろうか)。
 ひとつは栗の味。彼へ選んだ。

 どのコミックスに収録されているのかわからなくなってしまったけれど、くらもちふさこさんの「学生会議の森」と云う作品をたまに思い出す。

 見事なまでの曇り空。星は今日も出ない。
 外に置いていたジャコバサボテンとブーゲンビリアの鉢植えを家の中へ入れた。

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野生動物


 橋を渡った先にある公園の先にも橋があるとつい此の間知った。見ていると徒歩の人や自転車がぽつりぽつりと渡っていた。すぐ傍まで行くと、入り口に車両通行止めと記されていた。橋の下に川は無く遠くまで草原が続いていた。
 今日其の橋を渡ってみると、其処にはまた公園があった。狭い敷地に樹木が生い茂り、あちこちに立札が立っていた。スズメバチやマムシに、イノシシまで出るらしい。
 公園を抜けるとまた橋が現れた。人や自転車がやっとすれ違えるほどの狭い橋の下には川が流れていた。そこから先は行き止まりの道ばかりで戻るしかなかった。
 お弁当を食べる場所はなかったね、と彼に話しかけながらあちこち落ちている牛の糞を避け土手の道を走っていくと、眼の前を黒い生き物が横切っていった。大きさからして猫ではなさそう。走り方からして犬でもなさそう。タヌキ以外に見えなかった。
 生きていくことは愉しかったり嬉しかったり悲しかったり辛かったり、きびしくてせつない。

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きいろ、きいろ、きいろ


 せいたかあわだち草の勢いに思考が停止する。加えて風の強さに頭は飛ばされた。きいろ、きいろ、きいろ、・・・。秋はいつも、と彼に話し掛ける傍から肺から胃袋まできいろ壱色になり橋を渡る。
 そのまま下り坂を滑り、辿り着いた食料量販店でバナナを籠に入れてしまった。

 夕食にと、蒸し鶏ときゃべつの塩揉みを皿に乗せオリーブ油をたらした後で茹でた卵を切って添える。
 たいして好きでもないバナナは袋のまま父に渡した。今、父にあがっているのは蜜柑と大きなマリーゴールド。

 きいろ。クレヨンでも色鉛筆でも絵具でも最後まで残る色だった。
 きいろ。自分にとり、とてつもなく悲しみの色。(たぶん最初はゴッホの「ひまわり」、ついで映画の「ひまわり」に、そう感じてしまうようになったのかもしれない。)

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親切と大きなお世話


 母の部屋に敷いたラグを外に干す。キルト風の綿のラグは足裏がガサガサになることなく気に入っているが、厚いので洗濯できず、固く絞った布で拭いたり除菌スプレーを掛けたり陽に当てたりして壱年中使っている。
 ベッド下は時々掃除している筈が、何処に引っ掛かっていたのだろう。食べかけのポテトチップスの袋と覚え書きを記した用紙がみつかった。これだからかあさんは、とポテトチップスの袋を塵箱に押し込み用紙に眼を通し、其れが日記だとわかった。

 日付と誕生日と題した日記には、デイサービスから帰った早々ケーキを出してくれたこと。生まれてはじめだったこと。夕食はお寿司だったこと。ありがとうと今年はうれしいの文字があり、日付は伍日にまたがり記されていた。そのどの日にも、皆様には本当にお世話になりますだのいつもありがとうだのと感謝の文字が並んでいた。
 簡単な日記をつけていたことは知っていたが、家の中を荒らされるようになってからやめてしまったと聞いている。

 一緒に暮らしていても細かな処までわからない。そして家の中のことの何ひとつ知らないのが部外者。
 変化した母の心の内が嬉しいのと同時に、思い出したこと対し大きなお世話と吐き捨て、用紙をよく見える場所に飾るように置いた。

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