墓参り
2025, Nov 05
何度共同墓地の立派な墓石の前に立っても実感が無い。思い立ち来てはみたものの、父もそうだが、夫となると全く気配が感じられず、とても此処に眠っているとは想えない。
寺を出てひょろひょろとした青い稲が植わっている陸田の脇の道を自転車で走っていると、頭上に気配を感じた。目線を移すと頭上を越えていく鳥の姿があった。
最初鷹かと想ったが、鳥がすぐ先にある電柱に止まったとき、長い首と躯にシラサギだとわかった。見送ってくれるの?と想わず声が出る。其の後でもしかして父?と問うが返事はない。
壱日がかりを予定しておいたとは言え、暑くなり疲れが出たのか帰路はかなり時間が掛かってしまった。
帰宅し、あたしが亡くなるまでふたりとも此の家で過ごして、と言うと、夫は聞いているのかいないのか食器棚から珈琲カップをとり出そうとしている。父は父で仏壇にあがった柿を手に取ろうとしていた。
気のせいだとひとりごちてみたものの疑問は何ひとつなく、柿はまだ硬いからと父を止めていた。