静物との対話
2024, Feb 10
予定より拾日早くカーディガンは仕上がった。ラグラン袖にケーブル柄にしたカーディガンは躯にぴったりしている。寒い弐月に似合うだろう。袖丈も身丈も襟の開き具合も随分躯に丁度良い大きさに仕上がったものだと、自身に感心する。
机に置くと、英国羊毛100パーセント使用の毛絲は羊を連れてきた。少しだけ枕にしていいか尋ねると、ぼくも寒いからくっつこうよと目を逸らして言う。恥ずかしがり屋はすぐ判る。一緒にうとうとすると気持ちよかった。
自分では憶えていないけれど、母は躾として出掛け先で子が何か強請った場合、金額に関係なく買うのはひとつだけと約束させていたと聞いている。或る日祭りに出掛けると出店が並ぶ入り口ですぐにあたしが強請り困ったと想ったそうだが、他の物を強請ることはなかった云う。
どうしても此れなのと説得までする子だったそうだが、今でも其れは変わらないと感じる。
誰に教えてもらったわけでなく、静物と対話する。気が合いそうにないと感じれば対話はしない。
魂が見えるわけではないけれど、特にそう云うことを想っていないけれど、本でも雑貨でもあたしにとっては互いに選んだ相手。目が合ったと想うとハローと手を振ってしまう。