ミモザとアカシアと
2024, Jun 06
■シーン1)
彼とふたり散歩の途中だったのだろうか。伊太利亜映画で見たような石畳の通りに立っていた。突然彼がああと声を出し、眼であれを見てと促す。振り向こうとすると、大きな猿を連れた老人があたしたちの脇を通り過ぎていった。
老人の姿が小さくなると、或の猿の顔は苦手、と彼は言うが、顔は見ていない。余程驚いたのか嫌だったのか、口を開けたままの彼に、口が・・・、と言おうとすると、猿がこちらに向かってくるのが眼に入った。
猿は眼が真っ赤で異様な顔をしていた。はらはらしたが、猿は長い鎖で繋がれていた。近付くことはなかった。
向かってこようとしたね、とあたしが言うと、犬に気付いたんじゃないかな、と彼が言う。彼の足元には犬がいた。あたしたちが飼っている犬らしかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夢を見ていた。
犬はちらっと毛並みが眼に入っただけで、種類はわからない。ふさふさの尻尾が可愛いと彼が言っていたコリーだったのだろうか。それとも、飼うなら絶対柴、できれば黒い毛の、とあたしが言っていた柴犬だったのだろうか。
猿は恐かったけれど、悪くない夢だと想った。
■シーン2)
部屋の中。アカシアを活けた花瓶。忙しなく玄関を出ていく彼。会社へ行こうとしているのか、バンドの練習に行こうとしているのか、不明。上は麻の墨色のジャケットを着ている。
玄関にはバケツがみっつ置いてあった。どれもアカシアの花が挿してある。忘れたの声と同時に、壱度閉じられた玄関の扉が開く。玖割の割合で彼は忘れものをとりに戻ってくる。
どうしたの、此の沢山のミモザは?(何故かミモザと言っていた)、と訊くと、誰も貰ってくれなかった、と言い彼は再度玄関を出ていった。
(夢なので勝手に)此のアカシアは彼が売る分だったのだと、売れなかったのであげようとしたのだと、解釈する。あたしなら全部貰うのに、と想った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夢から覚め、アカシアは彼でなく他の誰かが売る分だったのではないかと想う。また損な役割をさせられたのではないかとも想ったが、そうでなく責任感から自らしたことではないだろうか。
責任感の無い者は他人を苦しめる。ある者は・・・。
あの後沢山のアカシアにうたったり踊ったりして何日か暮らした自分を想像し、笑った。