人には人の、静物には静物の、
2024, Jun 12
参晩家を空けても紫陽花は枯れなかった。多少萎れところどころ花びらの先が茶色になり、元気をなくした紫陽花の水を替える。
冬になり枯れて色が茶に変わっても、花の姿を留めたままの紫陽花は趣があり美しい。どんな立体作品にも劣らない。
何を以って命と云うのだろう。父の机を想い、命、とつぶやいてみる。
静物は何を見て、何と過ごしてきたのだろう。歳月や傷と共に、静物の内にも閉じられたものが存在する。夥しい数の記憶があり、それらの呼吸がある。そう想うと、物のひとつひとつが可愛らしく感じられ、自分が静物の何を知っているのだろうと疑問が湧いてくる。
関わり方も愛し方も人に対してのものとは異なるけれど、比較できないものを一緒にしなくていい。
人には人の命。静物には静物の命。関わったなら、埃くらい払って綺麗にしよう、と想うのが自然。