最後の壱滴まで
2024, Aug 21
参段になった収納ケースも処分することになった。中身が見えない仕様になっているうえ引き出しが外れない。玄関に置くのにひとつこう云うものが欲しかったが、引っ越したら使い道が無くなる。
引っ越したら新たに家具を購入しよう。そう想ったとき、どうせあと何年かの命だろうしなどと云う考えが自分にないことに気付く。最後の壱滴まで、最後の壱秒まで、次のことを想っていようと考えたとき、彼がそうだったなと想い弾んだような気持ちにさえなった。
帰省前に駅の向こうまで買い物に行き、其のとき書店に注文した本を受け取りに行く。
アンドリュー・ワイエスの画集は高額なのと探さなけば手に入れられないとわかる。注文して手に入るのが作品集だった。家に帰るまで待ちきれず、途中ベンチに座り作品集を開く。監修した人で違ってくるのだと想うが、数頁捲っただけで此れは値以上の本だと感じ悦ぶ。
今、あたしは自分の想い通りに動いている。
是までもそうだったように、想い通りに動いても彼が想い通りに動けなくなるわけでなく、彼も想い通りに過ごしていた。
衝突しない我が儘がふたつ。最後の壱滴まで彼といられそうだと想うと愉しくなってくる。