晩秋
2025, Nov 11
夏とは異なる未明の匂い、うす暗い部屋、人感センサーライトの灯り、タートルネックのシャツ、電気ストーブのボタン。ひとつづつ確認しやっと眼が開く朝。
電気ポットに水を入れ、和室に向かい障子を開けカーテンを開け掃き出し窓を覗き空を窺う。
玄関の鍵を開け、家の周りを掃き落ち葉を集める。届いた朝陽がやさしい。あちこちうす黄色に染まっていく。其の様子に銀杏の樹を思い出すけれど、此処では拾数分自転車を走らせないと見ることができないとわかった。
亀たちは夏のように餌を食べなくなり、逆にあたしの昼食は珈琲にスープが付いたりするようになった。
朝、目覚めてからの数分間がいちばん季節を感じる時間。同時に自分の命を感じる時間。
緑茶に水に珈琲を持っていき線香をあげ、おはようと声を掛けると返ってくる彼のまなざしにあたしは生き返る。
日毎に深くなる呼吸。あれからもあたしは生きている。長い長い時間をひとりでも。