例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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彷徨


 神社なら銀杏の樹があるだろうと早朝出掛けることにした。初めて出掛ける場所に迷わず辿り着けた試しはないが、全く土地勘の無い町でもなく壱時間あれば帰宅できると想っていた。
 が、実際は地図を見てもナビゲーションを利用しても壱時間経っても神社に辿り着くことができなかった。道とも言えないような道に出たとき、夜までに帰宅できればいいとあきらめた。

 眼の前に現れた鬱蒼とした森。引き返さず、森の中の小径を栗のイガを踏まないよう自転車を走らせ進んでいくと視界は再び明るくなった。周りに田畑と墓地しかない道の左側にはまた森があった。傍まで行くと其の森の入り口には石が立っていて、〇〇神社と刻まれていた。
 余程安堵したのだろう。銀杏の樹のことなどすっかり忘れ、次の瞬間自転車を走らせていた。

 帰路は丗分掛からなかった。
 自転車を立て掛けていると背後で彼の声がした。「今日はビニイルシートを敷いてお昼寝しないの?」
 家を出てから弐時間経っている。彼のようにはまだなれない。それなりに愉しかったと笑いふたり分の珈琲を淹れた。

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