侵入者
2025, Sep 18
浴槽の端に乗っていたのはカナヘビだった。あっと想った瞬間壁と鏡の隙間に身を隠してしまいそれきり姿を見せない。
参、肆日前流しの下を這っていたのも同じ個体だろうか。
いったい何処から入り込んだのか。けれど悪戯したあともなく毒をもっているでもない侵入者なら気にならない。これが蠅やゴキブリだったら食べ物が気になるし、蚊だったら刺されて痒みに数日悩まされることになるし、猫だったら妙な関係を築いて毎日のように食べ物を与えてしまう駄目人間に陥ってしまう危険性がある。そして人間だったら想像もつかないことが必ず先にある。
彼に報告し、カナヘビはちゃんと覚えたことを付け加える。
カナヘビもイモリもヤモリも全部蜥蜴と言っていたけれど、よく見るとみな違っている。
カメレオンにさわらせてくれる店が此の町にもあったらいいのにと想い、カナヘビにもう壱度逢えることを期待している自分に気付きくすりと笑う。