例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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がんもどき


 食料量販店に置かれていた見るからにおいしそうながんもどきは、町の豆腐屋さんのがんもどきだった。小鍋が欲しいなと想いながら、其れを小振りのフライパンで煮た。冷凍しておいたピーマンも加えた。
 がんもどきとごはんとお味噌汁の昼食。がんもどきを半分食べてしまい、ごはんを半分残すことになった。

 曇り空の寒い壱日。暖房しますます乾いてしまった部屋。加湿器が追い付かず、昨日洗濯して乾かなかったものをあちこちに下げている。煮物もしたので幾らか湿度は上がったろうか。
 昨日気分が下がったのは寝不足なのか、疲れていたからなのか、いつのまにか机に伏せて眠っていた。
 たまには肉も食べなきゃと想うけれど、食べようかなと想うものがみつかり、立ち出したとき少し調子を取り戻していた。

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気分が萎えた日


 歯ブラシを取り替える。それから珈琲豆の入った袋と顆粒のコーンスープの入った袋の封を切る。雑記帳も新しいものにする。
 新たに咲いたうす紅色の菊を赤紫と白の菊を活けた花瓶に足し、寒い日は腰に捲いて使っているリトルミイのブランケットを出す。黒のワンピースの下には薄いタートルネックの瑠璃色のシャツ。藍以外の青は苦手と言いつつ、引き出しにはもう壱枚の瑠璃色。
 小さな缶に入ったアロマバーム。冷蔵庫には柚子の砂糖漬け。
 わけもなく気分が萎えた日、部屋に置いたものをひとつひとつ辿っていく。最後は何になるのかがわかりきっていても。

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クリスマスツリー


 ツリーを箱から出し短いコードを弐本絡める。壱本は白色の電飾、壱本は星形の白色の電飾。セットになっていた色々な色に光る電飾は壊れてしまい棄ててきた。
 小さな赤い林檎と色数の少ないボウルを飾り、試しに電飾を灯す。カエルの人形を誘い、ちゃんと光ったから〇〇ちゃんに見せよう、とふたりで得意気な顔で彼に振り向く。

 箱と中身の一致、一連の動作とすり替えのない言動。

 嬉しいと泣く。ぼろぼろと泪がこぼれる。思い出しては泣きながら笑う。

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檸檬


其々の鍵で同じ扉を開ける
珈琲の匂いと流れる音楽
窓辺にはガジュマルの鉢植え

此処には森や海があふれている
弐足の靴に弐本の歯ブラシ
星の下には壱枚の毛布

疑いを口にしてしまったら
呆れた声で叱って

みずみずしくて酸っぱい傍らの光
きみが教えてくれた果実
きみが教えてくれたきみ


其々の鍵で同じ家に帰る
細い腕が水飛沫をつくる
汚れては荒い息をととのえる

悲しい日は昨日手折ってきた
野薔薇の実を捲いて

開けた窓の向こう雲が流れ
静かに語られる夢

なぐさめるよう遠くまで放られた檸檬
きみが見せてくれた果実
きみの持つまぶしい光

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      郵便箱


 少しくらいと想う心は伝わる。
 少しくらいと想う心は不快。
 そう云うとき、またさっと棘を出せるようになった自分。
 此れ以上近付かないでください。
 それくらいでと想う心も伝わる。
 それくらいでと想う心も不快。

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