例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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覚え書き


 今朝は町で壱斉に行われたごみ拾いに参加した。
 初めてのことは余程嫌なことでもない限り其れを躯は全身で感じようとする。緊張と新鮮さが入り混じり、心の処理が追い付かず疲労する。

 昼食はホットケーキにしてみた。オレンヂを乗せて焼くと酸味で甘味が薄れ、好みの味になった。
 今までバターで炒めた林檎を乗せて焼いていたけれど、色々試してみようか。

 和室にイグサのカーペットを敷き、ついでにと仏壇を掃除する。
 近所で戴いた橙の実はいつ下げたらいいのだろう、とふれてみたら軽い。外側は傷みもなく艶もあるのに、中身が抜けてしまっているのに驚く。

 来月まで食材は家にあるもので済ませる必要もあり、夕食はバターチキンカレーに。こしらえるのは初めてで適当なものになった。明日も食べられるようにと玉葱だけでなく人参とじゃがいもも入れた。
 小皿にふたつ用意しようとし、父はカレーライスは食べなかったことを思い出す。

 梅雨入りを想う時期。躯に痒みを覚えるようになり落ち着かない。

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現在進行形


 亀たちは眠りに入り、今日最後のお茶を飲む時間。ぽつぽつと聞こえる雨の音が心地いい。誰がこしらえたのか、明らかに手仕事だと判る縫い目のはんてんは丈が長く、肌寒くなった夜に似合い過ぎている。
 おばあちゃんにはんてんのこしらえ方を教わっておけばよかったとか、誰々に何を・・・、とたまに想っては、古くなりぼろぼろになったものを適当に直している。
 此のはんてんも直したら、棄てられなかった彼のはんてんも直して、並べて衣文掛けに・・・、と想う。

 今月は全て支払いを済ませたからときゃべつに新物のしらすに、オレンヂを買ってきた。帰宅すると町内会費をお願いする回覧板が届いていて、明日から壱日弐佰圓で暮らすことになってしまったことに笑う。
 ちらっと彼を見る。ん?下ろしに行く?、って言うので首を振る。
 あたしたちの暮らしに、これからも幾つか揃えたいものがある。あたしの時間は止まっていないし、あたしたちの時間も動いている。

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電話


 電話するのは苦手だった。以前は冒頭の挨拶から何から何まで壱字壱句書きとめ、其れを読んで電話していた。友人にすらそうだった。例外は彼ひとり。そんなふうだったので壱日壱度しか電話を掛けられなかった。
 母のケアマネージャーに、介護施設に、病院の面会の予約に、親類に、と壱日電話を掛け、できたと安堵したのも束の間、其れだけで疲労したのか今日も弐階の部屋でいつの間にか眠ってしまっていた。
 夕食はヨーグルトにナッツ。昼寝してもまだ眠い。何故こんなにも能力がないのだろうと落ち込みそうになる。
 眠ったら元気になるよ。そうつぶやいてカエルの人形を枕の隣に置いて、自分の手首を舐めた。けれど、猫がするように全身は無理なのでカエルの人形に躯をくっつけて眠りに入った。幾歳まで此れをしているのだろうと想いつつ。

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夏の匂い


 引っ越す前和室で使っていた扇風機を台所に置いた。風がやわらかく、気持ち悪くならない。首が上下左右に動くところも気に入っている。熱中症対策と記されたボタンもついている。
 台所と隣り合わせになったあたしの部屋は拾字に風の通り道があり、今日のように風のある日は或る程度気温が高くなっても室内は過ごしやすいと想うのに、熱中症対策のボタンを押したら注意の文字が赤く点灯する。
 朝の体温は35、6度。昼は36、1度。今年も注意が警戒に変わる頃、37度近くまで上がった体温に苦しむのかもしれない。

 夕食は胡麻豆腐にいんげんのバター炒め、メンチカツ。彼の隣にはきいろの缶の独逸のビール。此の壱本だけ引っ越しの荷に入れてきた。
 空気にほんの少しだけ夏の匂いが混じっている。宵の散歩に彼を誘う。

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イン・ザ・ダーク


 母の病院やデイサービスの領収書や医療費通知書などをポケットファイルからドキュメントファイルに入れ替えると、壱年分の量がひと目でわかるようになった。
 薬ばかりでなく領収書やポストの中の手紙まで持っていかれたと母は話していたが、領収書や医療通知書が壱枚もない年が弐年ある。丁度叔父夫婦が家の殆どのものを持ち出した時期と重なる。給付金の通知書も持っていかれるので振り込みにして欲しい、と町役場にお願いしに行ったと云うことも母から聞いているが、本当に全部が全部で呆れてしまう。
 親戚の者に何度も空き巣に入られたなどと、此の話を誰が信用しなくても仕方ないと想う。けれど自分は家の中の隅々まで何度も調べ、叔父夫婦の話も聞き、信じられない行為をしたのは誰かなのかを判断したのだ。

 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」。以前観た救いようのない映画が頭に浮かぶ。
 盲信の恐ろしさ。自分も其処に陥っていないか、自問を繰り返す。

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