玄関の飾り
2026, Mar 27
自室に飾ろうと想い作ったリースは改めて見ると結構な大きさで、自室に似合わない気がし両手で持ち家の中をうろうろする。最終的に玄関の壁に掛けた。
巻き尺を当て丗で指が止まった。直径丗センチのアカシアのリース。そこに見るのは彼に繋がるいろいろなこと。輪の内側から聞こえてくる波の音、鳥の声。潮の匂い、森の息吹。芥子の赤い色、彼の肩に掛かったギターケースの黒い色。其処で動き出した彼。話し始めた彼。
拾年前も廿年前も昨日も、そして明日も其処に存在している。見えるのはベンチに腰を掛け靴紐をしめ直す彼。帽子を取りに行ったあたしをまた待っているんだろう。
倖せがひとつふえたとあたしは笑う。