雷雨
2025, Sep 12
初めて利用する隣り町を走る循環バス。壱番近いバス停まで徒歩廿伍分。平日なら或る程度本数があるとわかった。
丁度バス停に付く頃雨が降り始めた。時折耳に届く雷鳴。遠くで光を放っている雷が傘の向こうに覗く。帰りは肆拾伍分待つことになるけれど最終のバスに乗れるから、と胸を落ち着かせる。
病院内は静かで窓から雨の降る様子こそわかるが、雨音も雷鳴も届かない。
午前中やってきた民生委員さんが渡してくれた町から出たと云う敬老の日のお祝いの袋を見せると、うんうんと首を動かす母。鼻に入ったチューブは除かれることなく、熱を出した日から繋がったまま。
心不全なので呼吸の心配があるのはわかっているものの、点滴のチューブも繋がれていて余計痛々しく見える。
帰りのバスを待つ間、待合室のテレビを観ていた。東京の街の様子が映る都度其処から此処は遠くにあることを想う。
好きだった街。どれほど時が経とうと変わろうと気に掛けている。そのものに利己や悪意など生まれていない限り。
病院を出る頃には降りやんでいた雨。泣かないで家まで帰ろうと想った。