剪定
2025, Sep 06
大きな音を立て降る雨。其の音を譚歌にし、長い軒下でゼラニュームの剪定をする。使うのは父が使っていた鉄製の剪定鋏。
此の家に来て壱度も剪定されたことないゼラニュームは驚くほど背が高くなった。鉢植えはみっつ。特に挿し木し増えたわけでなく、いつの間にか育ったようだ。
何度も空き巣に入られ水やりもやる気がなくなってしまったと母は言い、壱時は元気をなくしてしまっていた鉢植えの植物たちは此の夏落ち着きを取り戻し、ゼラニュームも他の花も此の夏今までで壱番花を咲かせた。
来年も咲いて欲しい。
雨で真っ直ぐになったあたしの髪。今日は結わえていない。髪がゼラニュームにふれる都度髪からゼラニュームと同じ濃厚な植物の匂いが生じる。だからこんな大雨の日にすることにした。
此の家で起こったありとあらゆるものを吸い込んで育っていけ。呪うように祈る。生に執着しなくなっているのに、来年も、再来年も、其の後も、と。
止むことを忘れたかのような雨。こんな日は永遠が見えるような気がする。