例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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杢目を見せた板に


 少し気温が下がり縁側のペンキを剥がす為ヘラと紙やすりを用意する。専用の液は板を痛めるのでお勧めできないそうだ。

 勝手に塗られたペンキはどのくらいの厚みがあるのか見当もつかない。ヘラで削ぎ紙やすりを掛けるが、剥がれたのかそうでないのかも全くわからない。
 考えた末マニュキアの除光液を垂らしてみる。其処をヘラで擦るとヘラに玉が付く。参度繰り返すとペンキが剥がれ、本来の板の色が顔を出した。きれいな杢目のある茶色の板だった。

 呼吸はできそうですか。苦しくありませんか。
 ペンキを剥がした部分から覗く板は、隣に立て掛けた梯子と同じに生きている匂いがした。
 縁側の傍に置いた踏み台まで全てペンキを落としたなら、あとはたまに雑巾掛けでもするだけでいいのかもしれない。

 かつて森にいたと想う樹木。かつて立っていた筈の樹木。姿形が変わっても美しさは残ったまま、森の頭上に拡がる空をも想わせてくれる。

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