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    <title>湿度</title>
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    <![CDATA[<br />
　朝から気持ちが悪い。幾らかふらふらするものの、頭痛は起きていない。暑いと言えば暑いが、それほどでもないのに変な汗を搔いている。湿度に躯がついていけなくなっているのだと判り、エアコンを除湿運転させ、いつ飲もうか愉しみにしていた葡萄ジュースを飲む。<br />
　水分補給に黴や花瓶の水替えはこまめに気にしているのに、湿度が自分に与える影響は忘れてしまう。<br />
　トイレに浴室、洗面所に続く引き戸の奥左側に、改装の際背丈ほどの衝立を作ってもらった。もたれるのに丁度良く、頬を寄せ気分を落ち着くまで眼を閉じていた。]]>
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    <pubDate>Thu, 02 Jul 2026 02:50:06 GMT</pubDate>
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    <title>物の場所</title>
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    <![CDATA[<br />
　見慣れない花をまた土手にみつける。きいろく秋桜のような花だが中央が赤い。毒はなく、育ててはいけない植物でないとわかり安堵する。観葉植物として持ち込まれたものが自生するようになったらしいが、そう云った植物が多く不安になる。<br />
　此処で育ち増えたことをたくましいと想う者がいれば、自分のように悲しいと想う者もいるだろう。其処でいいのかと、此処でいいのかと、尋ねずにいられない自分の方が悲しいのではないかと想いつつも、物の場所が気になってしまう。<br />
　或の人がいた空間はしっくりしていて、あたしの問いはたまにでしかなかったのに・・・。とまた彼を想っている。<br />
<br />
　書架から「ぼくを探しに」を取り出す。<br />
　訳者のあとがきを読むと、そういうこと（自身の足りない何かを探すこと）をある時期に卒業して大人になるのが普通・・・、（割愛）、・・・（自身の足りない何かを探し続けることは）特殊な人間に限られる、とある。初めて此れを読んだときは唖然とした。今もまいったなとしか言えない。<br />
　自身が不完全な個体であると云う概念は、自分から消えない。其れは完全を求めるものでなく、目線を他に向ける扉であり、あたしは今日も物に問うている。]]>
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    <pubDate>Thu, 02 Jul 2026 02:48:56 GMT</pubDate>
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    <title>忘れてしまった</title>
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    <![CDATA[<br />
　レコードやＣＤの購入の仕方を忘れてしまった。<br />
　タワーレコードでローリング・ストーンズの新作が輸入盤しか扱っていなとわかってから数日経っている。他の店で予約をし事無きを得たけれど、いつから店舗で購入できなくなったのだろうと考えると、拾年前かと想う。発売日当日に店舗に行きローリング・ストーンズの新作が置いてなく、発売日を間違えたのだろうかと想ったらそうでなかったことにがっかりしたことを思い出す。<br />
　目当てのものがはっきりしていても、沢山並んでいるところから眼でみつけ腕を伸ばし指でふれ取り出すときの高揚感は、今ではなかなか得られないものになった。<br />
　購入の仕方を忘れてしまっても、みつけ出したときの感覚を憶えている。<br />
　林檎が入っているような木箱でも購入し、家にあるレコードを入れ気分だけでも浸ってみようか検討中。]]>
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    <pubDate>Tue, 30 Jun 2026 00:24:49 GMT</pubDate>
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    <title>いつもと違う週末に</title>
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    <![CDATA[<br />
　ホットケーキミックスの粉でこしらえた紅茶味のスコーンは、壱日経ちほどよい硬さになった。アボカドにチーズにハムに人参のラぺに玉葱の酢漬けにズッキーニの塩もみに・・・、とどんどんボウルに入れてサラダにする。ミルの調節のゆるみを直した筈がうまくできず、今朝はすごぶる細挽きの珈琲になってしまった。<br />
　時折さっと降ってきては、すぐに止んでしまう雨。乾燥花になったと想った紫陽花が、湿気を含みやわらかくなっていた。瓶から取り出し、結わえてまた吊るすことにする。<br />
　昨日から着たきりの墨色の上下。濃くて苦い珈琲は彼の淹れる味。くつろぐことがなかなかできないけれど、いつもと違う週末にハローと手を振っておいた。]]>
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    <pubDate>Mon, 29 Jun 2026 01:27:29 GMT</pubDate>
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    <title>既成概念</title>
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    <![CDATA[<br />
　中央にトースターなどを乗せる空間、上下に開き扉がついた食器棚だけでは足りず、其の脇に小振りの食器棚と其の小振りの食器棚の上に硝子の引き戸のついた小さな棚を置き食器棚として使ってきた。<br />
　ひとりで使うには、と云う気持ちと、棄てられない気持ちがせめぎあう。<br />
<br />
　前提を無くすしかないとわかり、壱から入れ替えをすることになってしまったけれど、此の作業が愉しい。<br />
　家具の配置も幾度も幾度もやり直している。崩すことが愉しい。<br />
<br />
　小さな棚に白で統一食器を並べ、棚の上には鎚目の模様の入った銅製の急須と茶こぼしを置くと、それだけで随分と落ち着いた台所になった。<br />
　どうせなら、と整理する都度可愛らしいもの（多くは戴いたもの）を入れてきた。決して間違いではなかったけれど、いっとういい場所でもなかったらしい。<br />
<br />
　いったい作業はいつ終えるやら。今日明日と颱風で云々、と町の防災ラジオが放送している。雨はともかく風は強くないので、そう心配なく作業できそうな。]]>
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    <pubDate>Sun, 28 Jun 2026 02:04:13 GMT</pubDate>
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    <title>雨と白百合</title>
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    <![CDATA[<br />
　川沿いに幾つも咲いていた白百合。滅多に往来はないとわかっていても車が来ないか気にしてしまうのは、雨が降っているから。<br />
　寫眞さえ撮れないと想うとみつめることしかできないのに、雨はあとからあとから落ちてくる。雨合羽を着ているとは言え自転車が気になるし、眼鏡が濡れるのだけはどうしようもない。<br />
　瞼の裏に残像が残るまで。そう願っても雨に消されていく。<br />
<br />
　「白百合」の題であたしが絵を描けば、白百合を何処にも描かず雨の景色を描くことになるだろう。そんなふうにして長いこと記してきた詩。画。あたしがそのようにしかできないことを彼は気付いていたと想う。<br />
　彼を記してなくともあたしの記すものには彼が存在している。]]>
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    <pubDate>Sat, 27 Jun 2026 06:28:18 GMT</pubDate>
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    <title>素絢</title>
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    <![CDATA[<br />
　食器棚の前で立ち止まる。もっと取り出しよくと皿を眺めるうち、大きさを無視し白なら白で並べたら素敵だろう、とまた色を気にし始めてしまう。白以外のものは藍に生成りに、硝子製に木製、とそれくらいしかないのに白や黒のことを考えると止まらなくなる。<br />
　何をどんなに整えても、他に気をとられることがあるとすぐに乱れてしまう。其の都度自身に白を据えては元通りにする。<br />
<br />
　雑記帳の隅に星をひとつ描いた。白い頁に何本もの線を引きできた夜空。其処に線の隙間が作った小さなまる。]]>
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    <pubDate>Fri, 26 Jun 2026 04:29:27 GMT</pubDate>
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    <title>竹製</title>
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    <![CDATA[<br />
　ざるを手に、洗った茶碗を壱時入れておく籠に、まな板に、ヘラに、串に、箸（子供用らしい）に、乾麺を入れてある持ち手のついた籠、と見廻せば台所には随分竹製のものがあるなと想ったところで初めて気付いた。<br />
　いったい母は何処で貰ってくるのか、陸拾余りある袋入りの箸は竹製だった。持ち方を直すのに丁度いいと毎日此の箸を使っているが、手に合うのかひとりなので幾らでも時間を掛け食事できるからなのか、使うようになってから少しつつ直ってきている。<br />
<br />
　竹に想うのは、生まれた家の庭の壱角にあった竹林。<br />
　誰かにとっては邪魔な不要なもので、あたしにとっては記憶の中の宝物。そして父が其処にいる。土からちょっと顔を出した筍をとろうとするあたしを笑いながら止める父。今でも世界は知らないことだらけ。<br />
　親指がこうだから、とわかったことを報告したけれど、父は関心なさそうだった。]]>
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    <pubDate>Thu, 25 Jun 2026 01:50:25 GMT</pubDate>
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    <title>アンドリュー・ワイエス展からの帰り</title>
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    <![CDATA[<br />
　あたしの今住んでいる場所は、生まれた場所のように廣い庭もなく森も見えずそれほど静かでもないが（たまに車の音が聞こえるくらいでは、一般的には静かな場所と言うのかもしれないが）、窓辺に椅子をひとつ置きたくなる。<br />
　心の内は誰にも見えない。なのに椅子の硬さや色合いに、うす暗い家の中に差し込んだ光が作る陰影に、心の内が乗っているときがある。其れが淋しいと悲しいと生きていたくないと言うので、傍に欠かさず花を置く。そうすると、自分を通しいつも一緒にいた彼のまなざしさえ感じる。<br />
　家。暮らし。歳月。生死。光と影。静物。静寂。黒。茶。余白。・・・。<br />
　ひとつの歌に、壱枚の画に、自身はゆれ、奥の方に沈んでいた言葉がゆっくりと上昇してくる。（枯れそうでいて、枯れない生が。）]]>
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    <pubDate>Wed, 24 Jun 2026 00:48:04 GMT</pubDate>
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    <title>末摘花</title>
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    <![CDATA[<br />
　汗をかく分、自転車で丗伍分の道のりがきつくなった。陸時に寝てしまおうと想ったのに、落ち着かず風呂上がりだと云うのに家具を移動させる始末。<br />
　月曜日。花瓶に入ったのは末摘花。今朝食べ終えて空になった硝子の保存容器は口を開けたまま。玉葱もズッキーニもじっとしている。<br />
　明日履こうと想っている靴をきれいにそろえたけれど、あたしの頭は末摘花のように棘を出してしまっている。]]>
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    <pubDate>Wed, 24 Jun 2026 00:46:47 GMT</pubDate>
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