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    <title>洗濯</title>
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    <![CDATA[<br />
　洗濯機の脇に籠をふたつ用意するようになった。<br />
　籠のひとつに黒い衣服のみ入れ、ひとつは其れ以外のものを入れる。白い衣類のみで洗濯すると、白い色が長く保てると聞いている。あたしは黒い色を保ちたかった。<br />
　黒い衣類だけまとめて洗うと、黒い色が持つようになったと感じている。<br />
<br />
　アパートや借家暮らしのような煩わしさもなく、ふたつの箪笥の引き出しを入れ替えただけで終わってしまう衣替え。<br />
　何枚か残した彼の衣類は、あたしのものと混じった。丈や腰回りを詰め、お気に入りになった彼の麻のパンツ。此の黒い色はいつまで綺麗でいてくれるだろう。<br />
<br />
　直せずにいるジャケットも、できれば草の匂いも土の匂いも朝焼けの匂いもつけたい。しまったままにせず呼吸させたい。汚しては洗いたい。<br />
　生きていること、生きていること、・・・（苦しくて仕様がないけれど）。彼が教えてくれたこと。]]>
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    <pubDate>Thu, 07 May 2026 00:33:25 GMT</pubDate>
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    <title>今のあたし（たち）の日々</title>
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    <![CDATA[<br />
　母のベッドを移動させ和室を母の寝室にしたは良いものの、母の寝室兼客間だった洋間は炬燵兼座卓はそのまま、奥に父の仏壇を置き家に上げるまでの客人は滅多にいないこともあり上着を掛けた木製のハンガーラックと鞄を入れた大きな籠も置いたが、それきりどうしたものか悩んでしまっていた。<br />
　ふと想い、伯父がくれた貨車とでも云うのか、物を乗せ移動させに便利なものに座布団を乗せてみると、違和感なく置けることがわかった。そして余っていたパイプ製のハンガーラックに大判のストールを掛けると、いい目隠しになることもわかった。<br />
　湖へも森へももう出掛けることのない連休。白いワンピースを着て花に水やりをしたり亀たちと遊んだりお寿司をこしらえてみたり・・・。ストールでなくて着物を掛けても素敵かも、と言い彼の方を向き笑うと、よかったねと言う声が聞こえた。]]>
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    <pubDate>Thu, 07 May 2026 00:32:52 GMT</pubDate>
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    <title>紫蘭の咲いた朝</title>
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    <![CDATA[<br />
<br />
　母の面会は週に弐度。花の寫眞を見せる都度、眼を輝かせる。<br />
　何もこんな場所にと想う場所に植物が育ち、放っておいたら今朝紫の花を咲かせていた。アマリリスに菖蒲、つつじ、とはっきりした濃い色の花を好む母に、今度も悦ぶ表情が浮かぶ。<br />
<br />
　これまでのことを何処まで母が憶えているかはわからない。けれど、それは彼女自身の問題で、日常会話ができる以上自分に困ったことはない。洋服のしつらえかたや着物の着方を教わっておけばよかったと想うことはあるにせよ。<br />
<br />
　性質も体質も料理の味付けも好みも、どれをとっても異なる彼女と自分。同じところと言えば、唯一植えた覚えのない植物を悦んで育てることだろうか。<br />
　せめて母の悦ぶ間だけでも枯らさないように育てたい。]]>
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    <pubDate>Tue, 05 May 2026 03:30:02 GMT</pubDate>
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    <title>連休</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
　取り敢えず・・・、と卓に壱ダース並べたアルバム。そして連日朝から夕方までローリング・ストーンズが流れている家になった。<br />
　多くに気を遣うことなく、多くにふれることなく、多くを知ることなく、好きなものを見て聴いて過ごす。<br />
<br />
　狭いあたしの世界。狭いあたしのつきあい方。<br />
　嗚呼、でもなんて豊かなのだろう、と家の中を見廻す。例えば、彼を通して見ていたもののように、覚えていくことがたくさんで愉しい。<br />
　表面しか見えていなかったものが、少しづつ姿を現している最中。]]>
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    <pubDate>Mon, 04 May 2026 01:17:17 GMT</pubDate>
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    <title>思い出す日に</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
　旋律ばかりでなく演奏も聴きたい。楽器の音ばかりでなく声も聴きたい。歌ならば歌詞も聴きたい。どうしても日本語で聴きたいときもある。<br />
<br />
　家の左隣の隣りは駐車場。後ろも道路を隔て廣い駐車場。前は家が建っているが、敷地が廣く半分を駐車場にし貸している。<br />
　回覧板を届ける為、駐車場を横切っていく。「しーえいグランドのー駐車じょー」。横切る都度そこだけ歌ってしまうなあ、と想い。「きよちゃんのお土産。」」と、ライブに行ってきた彼が渡してくれたものをまた想い。]]>
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    <pubDate>Sun, 03 May 2026 08:12:06 GMT</pubDate>
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    <title>瞬間</title>
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    <![CDATA[<br />
　寒さにふるえ暖房する伍月の始まり、雨音は大きくラジカセの音量を上げる。<br />
　瞬間、の次にやってきたのは倖せ。けれど、それもまた過去に。瞬間毎あたしは移動している。過去は全て脳に刻まれたものであり、此処にはない。<br />
<br />
　あたしが辿った道はあたしの脳の中に。あなたが見ている世界はあなたの脳の中に。<br />
　どちらが正しいかでなく、どちらもあやふやで脆くはあるけれど、どちらもかけがえのないもの。優劣で語る必要も、互いを打ち消す必要もない。<br />
<br />
　ブルーズが好きだと言ったの。漆曲目はトーン・アンド・フレイド。休日にレコード店に連れて行ってくれた人を思い出す。其れもみな過去のこと。あたしの記憶。<br />
　けれど瞬間やってきたのは倖せ。<br />
　頭をゆらし刻む律動、律動、律動、・・・。弾け飛び散っている過去。瞬間、全てひとつのうねりに。伸ばした腕があなたと交わる。]]>
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    <pubDate>Sat, 02 May 2026 01:40:02 GMT</pubDate>
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    <title>すかんぽ</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
　此の参日ばかりで土手はすかんぽをいっぱいにしていた。それが高層ビルから見た人のように感じられ、気が付くと歌をつくりうたっていた。雉が飛び出したのは出来事そのまま。<br />
<br />
　青い空は　夢を砕く　黒い空は　風を落とす<br />
　荒れ野に立つ　すかんぽは　まるで人のよう　耐えている<br />
　　何千もの泪　何千もの諦め　そして無数の祈り<br />
　　生きる力は弱く　命は短い　願いを種に託し消えていく<br />
　どうぞ　此のひと粒が　形を成しますように<br />
　絲でつないだ指輪に　すかんぽも笑い　隠れていた雉も飛び出して<br />
<br />
　ひと際赤く染まったすかんぽを折り、自転車籠に入れる。しろつめ草にあかつめ草も摘み自転車籠に入れた。<br />
　家に帰り花瓶に活けると、それはそれは素敵なことになった。野原を家の中まで持ってきてしまったようで、子供の頃庭に咲いていたたんぽぽやすみれを摘んではコップに飾っていたことや、大人になってからはれんげ草摘みにいそしんだ日々を思い出す。<br />
　それにしても、家具にしろ何にしろ、野の花のなんて似合う家だこと・・・。]]>
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    <pubDate>Sat, 02 May 2026 01:38:36 GMT</pubDate>
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    <title>ＮＯ ＭＵＳＩＣ，ＮＯ ＬＩＦＥ．</title>
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    <![CDATA[<br />
　コンビニエンスストアを出ると、もう待ちきれなかった。駐車場を横切りながら封を開けていた。裏を見て初めて、インターネットで予約購入したものはＵＫ盤だとわかった。ＵＫ盤なら問題ないが、国内盤は伍月発売と知る。<br />
　ローリング・ストーンズさえ購入する気になれず過ごしてしまった。オリジナルアルバムも弐、参作抜けていると想う。<br />
　「ＩＴ&rsquo;Ｓ ＯＮＬＹ ＲＯＣＫ&rsquo;Ｎ&rsquo;ＲＯＬＬ」から始まる１９７２年から１９７４年までのセッションが詰まったストーンズのアルバムに、ぼろぼろ泣いてしまう。リアルタイムで聴いたことのない音。可愛らしいと想い泣き、想った後でストーンズを可愛らしいと想った自分に泣く。<br />
　此れを購入する気になったこと。聴けたこと。今日あたしが生きていること。今日まで生きていること。其れをストーンズを通し想った。<br />
　音楽や歌は、其の時代の空気や個人の想いごと胸に真っ直ぐ突き刺さってくる。救いと云うものが自分にもあるなら、其れは歌だった。他にない。]]>
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    <pubDate>Thu, 30 Apr 2026 02:18:56 GMT</pubDate>
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    <title>それで充分</title>
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    <![CDATA[<br />
　黒いものをまとめて洗濯する。客室には茣蓙のカーペットを敷き、リラのひと枝を乾燥花にしようと窓辺に吊るし、買ってきた檸檬果汁を冷蔵庫に入れる。<br />
<br />
　ひとつ歳が増えたことをすっかり忘れていて笑う。<br />
　伍月の連休も関係ないものになってしまったが、今日の日付と季節がわかっていればそれでいい。<br />
　壱日毎緑を増す鉢植えの植物たち。其の隣で呼吸する自分。それで充分。]]>
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    <pubDate>Wed, 29 Apr 2026 02:24:24 GMT</pubDate>
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    <title>新緑</title>
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    <![CDATA[<br />
　朝の強い風雨は治まり晴れ間が現れた空。橋の下を覗くと、川面には細かなさざ波が描かれ、今まで枯れ色壱色だった草むらにはところどころ緑が入り、モネの風景画を想わせていた。<br />
　咲いていた菜の花は散りあちこちにすかんぽが顔を出すだけの土手は、遠くから見ると壱面緑にしか見えない。<br />
　死ぬときは雪の降る日がいいと想っていたけれど、壱面緑を眼にする中でと云うのもいいかもしれない。雪の日と同じように頭が持っていかれる感覚に、そう想った。<br />
<br />
　自分が死んでいくことを想像するのは悲壮な行為だろうか。夫が亡くなり悲しかったけれど、痛みも感じているけれど、其れ以上に燦々としきらめくやさしいものを感じている。面会時間が終え病室を出ようとするとき彼が求めてきた握手の力強い感触は、言葉にする以上の無言の言葉は、褪せることなくあたしに残っている。<br />
　そして死する直前までの彼の呼吸を想うと、自身が死んでいくときの其の直前までの生の彼是の願いを描いてしまっている。<br />
<br />
　麦畑が金色に染まる頃も素敵よね、と彼に語り掛けると、ああと素っ気無い返事をされたけれど、言葉通りでないことを知っている。新緑に向ける彼のまなざしも。]]>
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    <link>https://canciondelaabeja.blog.shinobi.jp/%E3%80%80/%E6%96%B0%E7%B7%91</link>
    <pubDate>Tue, 28 Apr 2026 01:19:03 GMT</pubDate>
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